演劇「中高生ステージ」 “junior and senior high school stage”
『この声が煌めく舞台。』

第８回江戸まちたいとう芸楽祭のオープニングイベント、演劇「中高生ステージ」は８月３１日（日）雷５６５６会館にて開催されました。

今年から開演前に行われる江戸まちたいとう芸楽祭開会宣言。 江戸まちたいとう芸楽祭実行委員会の渡邉委員長による挨拶から始まり、各参加校の代表者たちが一言ずつ意気込みを述べました。そして開会宣言を全員で声高らかに行い、華やかに開幕しました。

トップバッターは駒形中学校演劇部の『人間・にんげん・Ｈｕｍａｎ・・・』。生きているものを全て腐らせる細菌に侵された世界の中で、生き残っていくためにそれぞれ役割を与えられた3人が、自らの役割について自問自答しながら戦っていくお話です。
演じている３名それぞれの個性が輝く役どころでした。また、途中のダンスシーンでは3人の息がぴったり！会場が手拍子で一体となりました。

2番手は柏葉中学校の『この探偵、馬鹿につき。』。雷雨の中、山奥で起こった密室殺人事件を舞台に、ポンコツ探偵と共に犯人探しが始まります。シリアスなお話なのかなと思ったところ、セリフの端々につい笑ってしまうシーンが盛りだくさん。会場は大きな笑いに包まれました。最後のシーンにでてきた衣装、小道具、メイクは、ほんの一瞬でしたがとても印象的でした！

3番手は御徒町台東中学校の『まい・ほーむ大作戦！～新築庭付き一戸建て幽霊つき～』。
夢のようなマイホームがタダでもらえるという夢のようなお話は、実は「家族とは？」と考えさせられるハートフルなお話でした。
それぞれのキャラクターの個性が光る演技で、動作も舞台転換も、チームみんなの息がバッチリ合っていました。

4番手は白鷗高等学校附属中学校による『真っ赤なカーネーション』。「色が見えない」、「目が見えない」、「足が動かない」など様々なハンディキャップを持った人達が、全ての願いが叶う場所「理想郷」を目指して進んでいく物語でした。音響や照明など演出に工夫が多くあり、みんなで沢山考えて練習をしてきた様子が伺えました。

5番手は上野学園中学校・高等学校による『真夏の夜の夢ッポイ』。シェイクスピアの名作をアレンジした作品でした。恋の魔法が鍵となり、4角関係、夫婦の仲に変化が起き、本来の関係性を見直す展開になりました。衣装も華やかで、迫真の演技と音響、照明のテンポも良く、物語に引き込まれていきました。

6番手は上野高等学校による『ファントムナイト』。博物館を舞台に、“2代目怪盗ファントム”と呼ばれる“怪盗コーヒー”の正体を巡って、探偵、警察、職員が巻き込まれていきます。犯人が明かされていくまでのやり取りはテンポが良く、観ている人を引き込んでいきました。最後のオチの探偵が実は怪盗ファントムだったというシーンにはかっこよさが溢れていました。

7番手は忍岡高等学校『先に死ねないあなたたち』。児童発達支援スクールを舞台にした、子どもたちの発達についてのお話でした。社会派な題材にも関わらず、音楽をふんだんに使うことによって、観る人にも分かりやすく伝えられる工夫がされていると感じました。この場での公演は作品の冒頭部分だったとのことで、早く続きが見たいと思いました！

８番手は岩倉高等学校の『たどり着いた鳥籠は楽園なのか』。ブラック企業で働いていて、心が疲弊している主人公が、偶然迷い込んだ不思議な世界でのお話です。主人公はそこで出会った不思議な仲間たちと過ごすことによって、「自分らしさとは」、「本当に自分がやりたかったこと」を思い出し、元の世界に戻ることを決意します。現代社会に訴えかけるメッセージ性が伝わる作品でした。途中のダンスシーンも場を和ませる演出でした。

全ての学校の上演が終了した後は、演劇の専門家の皆様から講評をいただきました。「各学校の個性が溢れた舞台ばかりだった」という言葉に、ついうなずいてしまいました。
厳しい暑さの続いた今年の夏ですが、各学校が夏休み中に稽古や準備をしっかり進めてきたことがうかがえました。出演者、裏方、関わった全ての人が煌めいた1日でした！